
【音楽家:高橋幸宏さん】
1970年、僕は10代の終わり近く。
何度、この映画を見に映画館へ足を運んだ事だろう。
もちろん、当時のアメリカが抱えていた時代背景の中で、僕とほぼ同年代の若者の青春や心の葛藤が描かれている部分にも惹かれた…。
でも、なんといっても、今でも鮮明に蘇るのは、映画のシーンとそこに流れる音楽との一体化!
NEIL YOUNGの「The Loner」に興奮して、「Helpless」に涙し、THUNDERCLAP NEWMANの「Something In The Air」に鳥肌が立つほどの勇気をもらった!
他にもたくさんある。あげたらきりがない。
この夏、僕はYMOの公演で、31年ぶりにサンフランシスコに降り立った。
あの映画の中にある坂道の風景を見ながら、僕は主人公サイモンになりきっていた。
当時の僕を思い出しては、NEIL YOUNGの声が頭の中で何度も響いていた…。
【音楽家:小西康陽さん】
小学6年生の秋の遠足の日の朝、バフィー・セント=メリーの歌う「サークル・ゲーム」をラジオで聴いて好きになった。シングル盤を買ったら、この映画のスティルがジャケットに使われていて、主題歌だと知った。そのときはまだジョニ・ミッチェルもC,S,N&Yも知らなかった。いまこの映画をもう一度観たいと思うのは、あのロジャー・ニコルズ&スモール・サークル・オブ・フレンズのメンバー、マーレイ・マクロードが「ジョージ」という役柄で出演しているから。<新宿武蔵野館の王子さま>こと、バッド・コートも出ている。絶対に大きなスクリーンで観るつもりだ。
【フォークシンガー:ばんばひろふみさん】
この映画をモチーフとした僕の『「いちご白書」をもう一度』は、60年代後半から70年代初めにかけて燃えさかった学園紛争の終焉から5~6年たった世の中を唄ったものです。
当時、若者たちは本気で世界を変えることができると信じ国家権力との闘争を繰り返しました。結果は敗北に終わり、唄の歌詞のように「髪を切って」心に深い疵跡を残しながら社会に呑み込まれてゆきました。
この歌はそんな彼らへのレクイエムなのです。
そしてこの映画は、大きく変わろうとする時代の一瞬を記録した
貴重なドキュメント作品でもあります。
【映画監督・作家:森達也さん】
初めてこの映画を観たときは高校生。場内が明るくなってもしばらくは椅子から立ち上がれなかったことを覚えている。それほどに衝撃だった。それほどに悔しかった。それほどに怒りを覚えていた。
時代は変わり、国家の暴力性はより洗練されて巧妙になり、学生や市民たちはより従順になった。でも人の本質は変わらない。テーマ曲『サークルゲーム』で歌われる「人は過去には戻れない。でも同じ季節を繰り返す」のフレーズが、今だからこそ胸に沁みる。
